お金くれるパパ

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何年も付き合ってる女がいる。自分とは歳の差もあるわけで、なんとなく、親子みたいな、恋人みたいな、兄妹みたいな、そんな関係で続いている。
ある時に、「俺のことどう思ってる？」って聞いたことがあった。
彼女は、しれっとした顔して、「お金くれるパパ？かな」と言って笑っていた。
その程度のことにしておいてって彼女は言い訳みたいに付け足した。
「お金くれるパパ」という程度の位置づけにガッカリしたというより、安心した、と言った方が正しいかもしれない。
その程度だったら、魂の奥深くまで傷つくことも、傷つけられることもないから、というのが理由だ。
そうだ、自分は臆病者なのだ。
自分より歳の若い女にそうやって守られている、と自覚はしている。
自分たちの関係にわざとお金を介入させて、関係そのものを冗談めかして。
バカなことをしてると分かっている。
彼女だって、何もこんな自分に付き合う義理はないんだ。お金にそう困ってるわけでもないのだし。
それでも、付き合ってくれる。「お金くれるパパ」だから、と彼女は笑って言ってたけど、本当を言うと、その隠れた気持ちをはっきり確かめたかった。
「愛してる」とはっきり言える関係など、愛の半分も理解できないだろう。愛を表に出してしまうと、愛は愛でなくなることもある。
自分たちの関係は少なくともそうだ。「お金くれるパパ」という仮の姿でしか、この世に存在できない、愛の真髄なのだと思っている。
言葉にした瞬間に崩れてしまう、そういう危うい関係なのだと。
妾契約
タニマチ