割り切りアプリ

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高校の頃ずっと好きだった黒瀬くん。だけど、引っ込み思案の私は告白も出来ないまま卒業をしました。大学も別々だしもう会えないなと思っていましたが、偶然に家庭教師のバイトで職場で黒瀬くんと再び再開出来ました。黒瀬くんから話しかけられた時は凄く嬉しくて、今度こそ告白出来たらなと思いました。
ところが、黒瀬くんから「教え子に好きと言われてどうしようかと悩んでいる。」と相談を受けました。私も好きだからショックでした。だけど話は意外な方向にいきました。「彼女、まだ確信ではないんだけど割り切りアプリとか利用している感じなんだよね。未成年だし、割り切りアプリを本当に利用していたら警察型になるし関わりたくない。」その言葉に嬉しかった。なので私も考えアドバイスをしました。「その教え子に彼女がいると伝えたらどうかな。実際いなくてもいると伝えたらか諦めると思うし、嘘をつくのが下手なら私と付き合うのもアリかもよ。なんてね。」私の言葉に少し驚いた表情をしていたけれど「それ、いいかも。俺、お前の事昔から好きだったから本当に付き合えたら嬉しいな。」まさか、こう言う感じで付き合うとは思いもしませんでした。
その後、黒瀬くんは教え子に彼女がいると言いました。すると教え子の親から「娘の成績が変わらないから違う家庭教師を雇うから辞めたい。」と、連絡がありました。事前に黒瀬くんは職場の人には教え子について相談していたので職場の人からは何も言われませんでした。
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割り切りアプリを通じてホ別の女の子と会う運びになった。
こういうことは初めてだったし、いざ本当にアプリ上でしか知らない女の子と会うとなると緊張が高まる。お金は既に用意しているが、何かのために少し余分に持っておこう。体臭は大丈夫だろうか?鼻毛は出てないだろうか?と、気になることが多すぎて心臓が常に高鳴っている状態だった。それくらい、僕にとってはビッグイベントだったのである。
下半身の疼きに耐え切れず、勢いで割り切りアプリで女の子を口説きまくったが、まさかこうして会える運びになるとは1%ほどしか思っていなかった。その1%が現実になるとは一生の運を使い果たした気持ちだ。
待ち合わせ場所で胸を高鳴らせながら女の子を待っていても、来ない方が精神的には救われるかも?と思ったほどだ。実は女の子とデートなんて数えるほどしかしたことがない。しかも、ほぼ女の子主導だった。こんな僕にリアルで女の子をリードできるのだろうか?と更に心臓は高鳴った。こんなに心臓が鳴るのは、病気以外では生まれて初めてかも知れなかった。
そして、気づくと僕は病院にいた。僕は待ち合わせ場所でぶっ倒れて、救急搬送されたのだ。医師の見立てによると、僕はどうやら狭心症の気があるようだった。確かに昔からドキドキすることが多くて、ああ、僕って多感なんだなーと思っていたのだが、実は病気だったらしい。もちろん、医師には「割り切りアプリで女の子と会うことになってて緊張してしまって」なんて言えるわけがなかった。
ところで、待ち合わせに彼女は現れたのだろうか。何となくだが、気を失う前に女性から声をかけられていたような気はしていた。まあ、こうして僕が病院に運ばれた以上、その子とは縁がなかったと思うしかない。ようやく落ち着いた僕が、医師から薬の飲み方を教えてもらって病室を出ると、待合室に独りの女性がいた。彼女は僕を見るなり話しかけてきた。
「大丈夫でしたか?急に倒れられて心配しました」
待ち合わせ場所に着いていた彼女が僕を見つけて救急車を呼んでくれたのだった。
そして今、僕たちは割り切った以上のお付き合いをしている。もちろん、あんまり僕をドキドキさせないように気を使ってもらいながら。
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